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オンライン講座の運営を「専用システム」に移すのはいつか

結論

受講者が数人〜十数人で、単発の講座を年に数回やるだけなら、専用システムは要りません。 Zoom と申込フォームと表計算ソフトで足ります。

移行を考えるきっかけには、性質の違う2種類があります。

A. 手が回らなくなった

  • 入金確認が手作業になった
  • 月額制を始めた
  • 誰がどのプランか分からない
  • 過去の録画を探せない
  • 質問の場所が分散した
  • 自分以外の人が関わり始めた

B. もっと売りたい

  • 売れる商品が月謝1本しかない
  • 既存の受講者に次に売るものがない
  • 席が埋まっていて増やせない
  • 教材は貯まっているのに売っていない
  • 通えない人を取りこぼしている

多くの記事はAだけを扱います。しかし移行の判断としては、Bのほうが大きい話です。

Aは「いまの売上を守るため」の移行、Bは「売上の作り方を増やすため」の移行です。 そしてAとBでは、選ぶときに見るべき点が変わります(後述します)。

この記事では、「まだ移らなくていい状態」と「移るべき状態」の境目、移行にかかるコスト、そして移行先を選ぶときに必ず確認すべきことを整理します。

まず、移らなくていい人

次の状態が「すべて」当てはまり、かつ売るものを増やすつもりがないなら、いま使っている道具のままで問題ありません。

状態理由
受講者が十数人まで表計算ソフトで全員の状況を目で追えます
単発講座だけ(継続課金なし)都度の入金確認で回ります
講座が1つで、増やす予定もない講座をまたぐ管理が発生しません
教材を貯める予定がない過去分を探す問題が起きません
連絡が個別で足りる一斉配信の仕組みが要りません

この段階で専用システムを入れると、「使いこなす」ことが新しい仕事になります。 月額費用も発生します。急ぐ理由はありません。

⚠ ただし、この表は「いまの形をそのまま続ける場合」の話です。 講座が1つでも、これから商品を増やしたいのであれば話は別です。 その場合は、後述のB群のサインを先に読んでください。増やしてから道具を変えるより、増やす前に決めておくほうが手戻りがありません。

なお、「専用システムを入れるくらいなら、自分で会員サイトを作ればいいのでは」と考えている場合は、会員サイトは自分で作るべきかもあわせて読んでください。判断の軸が変わります。

移行を考えるサイン|A. 手が回らなくなった

次のことが起きはじめたら、道具を変える検討をする段階です。

サイン1:申込と入金の突合が手作業になった

申込フォームの回答と、銀行の入金記録を目で照合している状態です。人数が増えるほど時間が増え、しかも見落とすと受講者に迷惑がかかります

サイン2:月額制を始めた/始めたい

単発の入金確認と、毎月の継続課金はまったく別の作業です。 決済の失敗、解約の受付、再開の処理が毎月発生します。ここは自動化しないと確実に破綻します。

サイン3:売るものを増やしたら、出し分けが追いつかなくなった

これが最も分かりやすい分岐点です。 すでに複数のものを売りはじめている場合の話です。

学習塾なら夏期講習・冬期講習、教室なら単発の特別講座、講師なら入門コースと上級コース通年の月謝とは別に、期間限定のものを売りはじめたあとに起きます。

売るものが増えると、次の3つが同時に発生します。

  1. 「誰がどれを買ったか」の管理 — 表計算ソフトの列が増えていきます
  2. 「この人に何を見せるか」の出し分け — 夏期講習の教材を、受講していない人に見せるわけにはいきません
  3. 「この人に何を案内するか」の宛先分け — 全員に同じ案内を送ると、関係ない人には迷惑になり、必要な人には埋もれます

1つ目だけなら手作業で耐えられます。2つ目と3つ目が来たら、手作業では無理です。 出し分けは、間違えると受講者との信頼に直結します。

サイン4:過去のアーカイブを探せない

録画が10本を超えたあたりから、「あの回だけ見たい」という受講者の要望に答えられなくなります。フォルダに並んでいるだけの動画は、教材として機能しません。

サイン5:質問の場所が分散した

メール、チャット、SNSのDM、それぞれに質問が来ている状態です。答え漏れが起きます。 そして「前に誰かが同じ質問をしていた」を活かせません。

サイン6:自分以外の人が関わりはじめた

アシスタントや別の講師が入ると、アカウントの共有という危うい運用が始まります。誰が何をしたか分からなくなります。

当てはまるものが1つなら、その1つを個別に解決する方が早いこともあります。3つ以上なら、道具を変えたほうが結果的に早いです。

移行を考えるサイン|B. もっと売りたい

ここからは「困っていないが、伸ばしたい」場合の話です。 移行を扱う記事の多くはここを書きませんが、実際にはこちらのほうが判断として大きいことがあります。

共通しているのは、「教える力はあるのに、売り方の選択肢がないせいで頭打ちになっている」状態です。

AとBは、対立する2つの状態ではありません。同じ一本の線の、手前と先です。 Bは「これから商品を増やしたい」という動機、Aは「増やした結果、手が回らなくなった」という症状です。Bのサインに当てはまる人は、商品を増やせばAのサインが来ます。 だから、Bの段階で先に道具を決めておくほうが結果的に楽になります。

サイン7:売れる商品が1つしかない

月謝だけ、あるいは1コースだけ。この状態では、売上を増やす手段が「生徒を増やす」しかありません。

しかし月謝を値上げするのは難しく、生徒を増やすには席と時間が要ります。 一方で、「別のものを足して売る」のは、既存の受講者にとって受け入れやすい提案です。夏期講習、志望校別の対策講座、保護者向けの説明講座。商品が増えれば、同じ生徒数でも売上の作り方が増えます。

そして、実際に増やすと次に来るのがサイン3です。 「誰がどれを買ったか」「この人に何を見せるか」「この人に何を案内するか」が、同時に発生します。サイン7とサイン3は矛盾しません。増やす前と、増やした後です。

サイン8:既存の受講者に、次に売るものがない

新しく生徒を集めるより、いまいる受講者に次を提案するほうが、はるかに確実です。 相手はすでにあなたの授業を知っているからです。

にもかかわらず、「次の商品」が用意されていないケースは多いです。 受講者リストという最大の資産を持ちながら、そこに向けて売るものがない状態です。

サイン9:席が埋まっていて、これ以上増やせない

満席・キャンセル待ちは、伸びしろが物理的に止まっている状態です。 教室の席数と、自分の時間が上限になっています。

オンラインの講座には席数の制約がありません。 対面の授業を続けながら、別商品としてオンラインを足すことで、上限を外せます。

サイン10:教材は貯まっているのに、売っていない

過去の録画・資料・レジュメは在庫です。 使い回していないなら、その価値は0円のままです。

すでに作ったものを商品にできれば、新しい制作をせずに商品を増やせます。 録画講座、単元別の教材、過去問解説。「作る」のではなく「並べ替えて売る」だけで足りることもあります。

サイン11:通えない人を取りこぼしている

「遠くて通えない」「曜日が合わない」という問い合わせが来ているなら、その人たちは買う気があるのに買えない人です。

対面の代替ではなく、通えない人向けの別商品として設計すれば、いまの教室を変えずに売り先を広げられます。

学習塾の場合の組み立て方は、学習塾がオンライン講座を「別の商品」として売るにはに書きました。

AとBでは、選ぶときに見る点が変わります

移行の目的選ぶときに最も重要な点
A. 手が回らないいまの売上を守る手作業がどれだけ減るか(申込・入金・連絡の自動化)
B. もっと売りたい売上の作り方を増やす売り方の選択肢がどれだけあるか(下の確認項目5)

Bが動機なら、「便利かどうか」より「何通りの売り方ができるか」で選んでください。 自動化が優れていても、商品を1種類しか作れないサービスでは、Bの目的は達成できません。

移行にはコストがかかります

移行を薦める記事はコストを書かないことが多いので、先に書きます。

コスト中身
受講者への案内ログイン先が変わります。高齢の受講者・保護者がいる場合は、ここが一番の負担です
既存データの移し替え会員リスト、過去の動画、資料。自動で移るとは限りません
決済の切り替え継続課金がある場合、受講者に再登録してもらう必要が出ることがあります
慣れるまでの時間どんなに簡単でも、最初の1か月は手戻りが出ます
月額費用当然かかります

したがって、移行の適期は「限界が来てから」ではなく「限界が見えたとき」です。 破綻してから移すと、受講者への案内と業務の立て直しが同時に来ます。

選ぶときに確認すること

ここが本題です。 講座配信のサービスは見た目が似ていますが、運用に効く差は、この6点にあります。契約前に必ず確認してください。

1. 課金は「人数×時間」で増えるか、定額か

同じ「月額いくら」でも、中身が違います。

  • 人数に比例して増えるタイプ(受講者1人あたり◯円)
  • 一定人数まで定額のタイプ

さらに注意が要るのは、オンライン授業の時間に上限があるサービスです。その上限が「参加者全員の合算」で計算される場合があります。 60分の授業に講師1人+生徒9人なら、600分を消費する計算です。この方式だと、受講者が増えるほど上限に早く達します。

確認する質問:「受講者が2倍になったら、料金はどう変わりますか」

2. 手数料は誰が、いくら負担するか

「手数料無料」と書かれていても、内訳を確認してください。

  • 講師の売上から差し引かれるのか
  • 受講者が支払うのか
  • 決済手段(カード/銀行振込)によって変わるのか

確認する質問:「月10万円売り上げたとき、私の手取りはいくらですか」

3. ライブに人数制限があるか

サービスによっては、同時接続できる人数に上限があります。 上限を超えると別の会議ツールを併用することになり、「一本化したくて移ったのに、また分かれる」ことになります。

確認する質問:「同時に何人まで参加できますか。超えたらどうなりますか」

4. 動画の保存容量に上限があるか

そしてもう1つ、見落とされがちな点があります。ライブ配信のアーカイブが容量に算入されるかどうかです。 毎週のライブを貯めていくと、容量は想像より早く埋まります。

確認する質問:「容量の上限はありますか。ライブの録画も含まれますか。超えたらどうなりますか」

5. 複数のものを売り分けられるか

サイン3に当てはまるなら、ここが最重要です。 3つに分けて確認してください。

(a) 売り方の種類月額の継続課金だけでなく、期間限定の買い切り(一括払い)を作れるか。夏期講習のような「その期間だけ」の商品は、月額とは別の売り方が要ります。

(b) 教材の出し分けコンテンツ1つずつに対して、「全員に公開」「会員だけ」「このプランを買った人だけ」を設定できるか。プラン単位でまとめてしか設定できないサービスもあります。

(c) 案内の出し分け受講者のリストから、条件で絞って連絡できるか。 「夏期講習を受けた人にだけ、冬期講習の案内を送る」ができるかどうかです。

確認する質問:「夏期講習だけを買った人に、その教材だけを見せて、その人たちにだけ案内を送れますか」

この1問で、(a)(b)(c) がまとめて確認できます。

6. 複数人で運営できるか

アシスタントや別の講師が関わる予定があるなら、アカウントを共有せずに、権限を分けて追加できるかを確認してください。共有アカウントでの運用は、退職・交代のときに必ず問題になります。

確認する質問:「講師を2人目として追加できますか。何ができる権限になりますか」

移行先を本格的に比較する段階なら、塾向けオンライン講座プラットフォームの選び方に、契約前に確認する質問をまとめてあります。

よくある質問

Q. 受講者が何人になったら移行すべきですか

人数だけでは決まりません。単発講座なら100人でも表計算ソフトで回ります。月額制なら10人でも自動化が要ります。 判断の軸は人数ではなく、「継続課金があるか」「プランが複数あるか」「教材を貯めるか」です。

Q. 移行すると、いまの受講者はどうなりますか

サービスによりますが、多くの場合、受講者に新しい環境へ登録し直してもらう必要があります。 継続課金がある場合は決済情報の再登録も発生し得ます。移行の案内をどう出すかを、契約前に決めておいてください。

Q. 無料で始められるサービスもありますが、違いは何ですか

無料枠には通常、受講者数・容量・機能のいずれかに制限があります。問題は制限そのものではなく、「制限に達したときに何が起きるか」です。 有料に切り替わるのか、機能が止まるのか、データが消えるのかを確認してください。

Q. 結局、一本化したほうがいいのですか

目的によります。 ツールが分かれていること自体は問題ではありません。問題になるのは、分かれていることで「手作業のつなぎ」が発生しているときだけです。 つなぎ作業が無いなら、無理に一本化する必要はありません。

Fincs の場合

Fincs は、講座の配信・受講者とのやりとり・決済をひとつにまとめたプラットフォームです。

位置づけとしては、運営を効率化するための道具というより、教える事業を広げていくための土台です。 商品を増やす、売り先を広げる、教材を資産にする — そのための仕組みが最初から入っています。

特に向いているのは、B群(もっと売りたい)が動機の場合です。 通年の月謝に加えて夏期講習・冬期講習を売る、コースを級や学年で分ける、貯まった録画を単元別の商品にする、通えない人向けの講座を出す。こうした「複数のものを売り分ける」運営を前提に作られています。

逆に、A群(手が回らない)だけが動機で、売る商品を増やす予定がないのであれば、他の選択肢も含めて比較してください。

上の6項目について、Fincs では次のようになっています。

1. 課金の増え方

Fincs for School は月額19,800円(税込)の定額です。500名の受講生を想定したプランで、それ以上になる場合は別プランで調整できます。受講者数や配信した時間に比例して費用が増える方式ではありません。

2. 手数料

講師の売上から差し引かれる手数料は0%。 決済手数料5%は受講者の負担です。

3. ライブの人数

受講者の人数によって講座の設計を変える必要はありません。 具体的な上限が判断材料として必要な場合は、お問い合わせください。

4. 動画の容量

保存した容量に応じて費用が増えることはありません(月額定額のため)。1ファイルあたりのサイズ上限などの詳細は、お問い合わせください。なお、ライブ配信は終了後に自動でアーカイブが生成され、そのまま教材として配信できます。

5. 売り分け

  • (a) 月額サブスクと買い切り(一括)の両方の料金プランを作れます(無料体験期間の設定も可)
  • (b) コンテンツごとに「一般公開/会員限定/プラン限定」と公開日時を設定できます
  • (c) Fincs for School では、会員一覧から条件を絞って一斉配信できます

6. 複数人での運営

サブ講師を追加して、複数人で運営できます。

「夏期講習を売る」を例にすると

  1. 夏期講習を、買い切り(一括)の料金プランとして作ります(利用可能日数を設定できます)
  2. 夏期講習の教材を「このプラン限定」で公開します。 通年生には見えません
  3. 講習が終わったら、受講した人だけに冬期講習の案内を送ります(Fincs for School では会員一覧から条件を絞って一斉配信できます)

通年の月謝と並行して、これを別商品として運営できます。

そのほか

教材はセレクションという単位でグループ化し、章立てして並べられます。受講者とのやりとりはチャンネルとダイレクトメッセージで行います。Fincs for School では、会員へのタグ付与をきっかけに、入会後◯日目といったタイミングで自動的にメール/DMを送る「ステップ配信」も使えます。講師は会員一覧と、入退会履歴・配信履歴などの状況を確認できます。契約直後に別プランを提案する仕組みもあります。

まとめ。

判断の軸は、受講者の人数ではありません。「売るものを増やすつもりがあるか」です。

月謝1本で回っていて、それ以上を望まないなら、いまの道具のままで構いません。しかし「もっと売りたい」なら、商品を増やすことが先で、道具はそのために変えるものです。 季節講習を別売りする、コースを分ける、貯まった教材を商品にする、通えない人向けを作る — そのどれもが、手作業では追いつかなくなります。

そして、「手が回らないから移る」のと「もっと売りたいから移る」のとでは、選ぶ基準が違います。 前者は自動化の度合いで、後者は売り方の選択肢の数で選んでください。

選ぶときの6点は、課金の増え方・手数料の負担・人数の上限・容量の上限・売り分け・複数人運営です。契約前に必ず確認してください。

Fincsの機能ごとの詳しい可否は、できること・できないことにまとめています。