オンライン講座の会員サイトは、自分で作るべきか
結論
会員サイトを自分で作ろうと考えているなら、最初の1講座は既存のプラットフォームで始めてください。
自分で作るという選択が間違っているわけではありません。順番の問題です。
この記事は「自分で作るか、既存のものを使うか」を扱います。 「そもそも専用のシステムが要るのか、まだ無料のツールの組み合わせで足りるのか」を先に決めたい場合は、専用システムに移すのはいつかから読んでください。受講者が数人で講座が1つなら、まだどちらも要りません。
売れるかどうかまだ分からない商品のために、会員サイトを作る作業に数か月を使うと、「サイトを作ること」自体が目的になります。 講座が売れなかった場合、残るのは動いているサイトと、売上ゼロという事実だけです。
先に売れることを確かめる。伸びてきて、どうしても足りない部分が出てきたら、そこだけ自前にする。この順番なら、作る対象がはっきりしています。
「自作なら安い」は、たいてい成り立ちません
自作を検討するとき、比べているのはサイトの制作費だと思います。でも、講座の会員サイトに必要なものはそれだけではありません。
- 受講者の登録と、ログインの管理
- 決済(月額の自動課金・買い切り・カードの更新・決済の失敗時の処理)
- 動画の配信(見られる人だけに見せる。通信環境に応じて画質を変える)
- 誰がどこまで見たかの記録
- 受講者へのメール配信
- 退会と、退会後の扱い
- 領収書
- 個人情報の保管
- これら全部の、動き続けるための保守
WordPressなどで組むなら、この一つひとつにプラグインや外部サービスを足していくことになります。足し終えたころには、専用のプラットフォームより安いとは限りません。
そして、足したものは全部、自分で面倒を見ることになります。 プラグインの更新が止まる。外部サービスが値上げする。プラグイン同士がぶつかって決済が通らなくなる。これらは講座の中身とは何の関係もない仕事ですが、起きたらその日のうちに直さなければいけません。
いちばん重い部分は、費用ではありません
私たちが既存の講師に話を聞いたとき、3件のうち2件が、自作を検討したうえでやめていました。
理由はどちらも、費用でも手間でもなく、セキュリティでした。
自分で会員サイトを作るということは、受講者の個人情報と決済に関わる情報を、自分の責任で預かるということです。
- 何かあったときに、責任を負うのは運営者です
- 「気をつけていました」は通用しません
- 生徒と保護者の情報を扱う塾では、この重さが特に大きくなります
比較記事の表では、この項目はたいてい「△ 自己管理」の1行で済まされています。実際に検討した人が最後に引き返すのは、多くの場合ここです。
逆に、自作が向いている場合
いつでもプラットフォームがいい、という話ではありません。次に当てはまるなら、自作を検討する価値があります。
- すでに講座が売れていて、売上が読める
- プラットフォームでは実現できない、独自のやり方がある(既存の基幹システムとつなぎたい、独自の判定ロジックを組み込みたい等)
- 技術的な保守を続けられる人が、社内にいるか、契約している
- 講座の中身を作る時間を削らずに、サイトの面倒を見られる
特に4つ目です。自作の本当のコストは、お金ではなく、講座を良くする時間が減ることです。
「預けたら、自分のものでなくなるのでは」
自作を選ぶ理由として、これを挙げる方がいます。もっともな心配です。確認すべきことなので、確認の仕方を書きます。
利用規約で、次の2点を確かめてください。
1. 作った教材の権利は誰に帰属するか
規約に明記されているかを見てください。「講師に帰属する」と書かれているのが望ましい形です。書かれていない場合は、書かれていない理由を聞いてください。
2. やめるときにどうなるか
契約の期間、更新の条件、解約の手続き。やめ方が書かれていないサービスは、やめにくいサービスです。
そのうえで、現実的な話をします。教材そのもの——動画ファイル、PDF、書いた原稿——は、どのプラットフォームを使っていても手元に残ります。移せないのは、受講者との関係です。
だからこそ確認すべきなのは、権利の話に加えて、受講者に自分から連絡できるかです。プラットフォームを通してしか受講者に届かない状態は、権利がどうであれ、身動きが取りにくくなります。
選ぶときに確認すること
自作と比べるためにも、この7つを聞いてください。
1. 決済まで含めて完結しますか
外部の決済サービスを別途契約して自分でつなぐ必要があるなら、その分は自作と同じ作業です。
2. 受講者に、自分から連絡できますか
メールを送れるか。条件を絞って送れるか。送れない場合、受講者リストは持っていても使えません。
3. 教材の権利は誰に帰属しますか(規約で確認)
4. やめるときの条件は明記されていますか(規約で確認)
5. 支払いはいつ、どのように行われますか
締め日と支払日。振込手数料はどちらの負担か。これも規約に書かれているはずです。
6. 手数料は、誰が何を負担しますか
売上に対する手数料と、決済にかかる手数料は別のものです。受講者の支払額が変わるのか、自分の受取額が減るのかを確認してください。
7. できないことを教えてもらえますか
これがいちばん大事です。 できることは、どのサービスも喜んで説明します。できないことを聞いたときに、はっきり答えるかどうかで、その後のやりとりのしやすさが分かります。
よくある質問
Q. 途中で自作に切り替えることはできますか
教材は移せます。 動画・PDF・原稿は手元にあります。移すのが大変なのは、受講者の契約と決済です。月額で課金している受講者がいる場合、全員に登録し直してもらう必要があります。切り替えるなら、契約者が少ないうちのほうが楽です。
Q. WordPressで作れば、デザインを自由にできますよね
できます。ただし、講座が売れるかどうかにデザインの自由度が効く場面は、思っているより少ないです。最初に効くのは、案内文と価格と、申し込みが完了するまでの分かりやすさです。
Q. 無料で始められるツールを組み合わせるのではだめですか
最初はそれで十分です。 講座が1つで、受講者が数人なら、専用のシステムは要りません。組み合わせでは足りなくなる境目については、別の記事に書きました。
Q. 自作したサイトのほうが、検索で有利になりませんか
独自ドメインで運営できるという点では、有利になり得ます。 ただし、検索で見つけてもらうために必要なのは、まず読まれる中身です。サイトの作り方だけで順位が決まるわけではありません。
Fincs の場合
Fincs for School は、学習塾やスクールが講座を販売・運営するためのプラットフォームです。上の7項目に沿って書きます。
- 決済まで完結 — 月額(サブスク)と買い切り(一括)の両方に対応しています。月額はクレジットカード、買い切りはクレジットカードと銀行振込が選べます
- 受講者への連絡 — 条件で絞り込んでメールを送れます。送信前に対象人数を確認できます。タグの付与をきっかけに、入会後◯日目といったタイミングで段階的に自動配信することもできます(Fincs for School のご契約では標準でご利用いただけます)
- 教材の権利 — 講師利用規約 第14条で、講師が作成した配信コンテンツの知的財産権は講師に帰属すると定めています(別途の合意がない限り)
- やめるときの条件 — 契約期間は登録完了日から1年で、末日の20営業日前までに終了を通知しなければ1年延長されます(講師利用規約 第19条)
- 支払い — 月末締め、翌々月15日に、講師が指定した口座へ振り込みます。振込手数料は講師の負担です(講師利用規約 第8条)
- 手数料 — Fincs for School は月額19,800円(税込)で、講師の売上から差し引かれる手数料は0%です。受講者のお支払い時に決済手数料5%がかかります
- できないこと — できること・できないことに、できないことも書いています
まとめ
- 順番の問題です。 売れることを確かめてから、足りない部分だけ自前にする
- 自作の費用は制作費だけではありません。足したものは全部、自分で面倒を見ることになります
- 実際に自作を検討した人が最後に引き返すのは、多くの場合セキュリティです
- 自作の本当のコストは、講座を良くする時間が減ることです
- 預ける不安は、規約の2点(権利の帰属・やめ方)と、受講者に自分から連絡できるかで確かめられます