講座を「買い切り」と「月額」の両方で売るには
結論
どちらかを選ぶ問題ではありません。両方やるのが基本です。
完成している1つの講座は買い切りで。学び続ける場所は月額で。この2つは別の商品なので、並べて置いても食い合いません。むしろ、片方しか用意していないと、買える人を取りこぼします。
ただし、両方やると決めた瞬間に、別の問題が出てきます。
「買い切りだけ買った人に、月額会員向けの中身を見せない」をどう実現するか。
値段を決めるより、こちらのほうがずっと難しい。この記事はそこまで書きます。
まず、どちらが何に向くか
ここは各所で語られているとおりです。短く整理します。
そもそも講座・サロン・コミュニティのどれを作るかで迷っている場合は、3つの違いと、どれを作るべきかを先に読んでください。この記事は「講座を売る」と決めた後の話です。
| 買い切り | 月額 | |
|---|---|---|
| 向く中身 | 完成している。ゴールが決まっている | 更新される。やりとりが価値の中心 |
| 例 | 「夏期講習・英語」「入試までの30日」 | 「通年の質問対応」「毎月の新講座」 |
| 買う側から見ると | 一度払えば全部見られる | 少額で始められる |
| 売る側から見ると | 作り切れば繰り返し売れる | 収入が積み上がる |
| 運営の負荷 | 作った後は低い | 毎月「何を出すか」を考え続ける |
片方に寄せるとどうなるか。
買い切りだけにすると、売上は毎回ゼロから積み直しになります。3月に売れても、4月にまた売らなければいけません。
月額だけにすると、「今すぐこれだけ欲しい」という人が買えません。 受験前に苦手科目だけ何とかしたい人に、月額会員になってくださいとは言いにくい。
両方やるときの3つの型
3つは「買い切りと月額の関係」が違います。 型1は順番(買ってから、その後へ)、型2は選択(どちらかを選んでもらう)、型3は移行(期限で切り替わる)です。
型1【順番】買い切りで買った人に、月額の場を用意する
いちばん多い形です。
- 買い切り: 講座そのもの。動画・教材・課題
- 月額: 買い切りを買った人だけが入れる、質問と交流の場
買い切りは「商品」、月額は「その後」。買った人にだけ月額を案内するので、売り込みではなく自然な続きになります。
型2【選択】「教材だけ」と「伴走つき」で分ける
同じ中身を、関わり方の量で分けます。
- 買い切り: 教材を見られる。質問はできない
- 月額: 教材+質問し放題+新しい講座が追加される
受講者が自分で選べるのが利点です。自走できる人は買い切り、見てほしい人は月額。
型3【移行】買い切りの期限が切れたところで、月額に移ってもらう
- 買い切り: 「6か月間、見られます」
- 6か月後: 「続けるなら月額会員へ」
最初にまとまった金額を受け取れて、その後も続く形です。ただし、期限切れの案内を出し忘れると、そのまま離れます。 型1・型2より運用の手間がかかります。
本当に難しいのは値段ではなく「見せ分け」
3つの型はどれも、「誰に何を見せるか」が違うだけです。値段の話に見えて、実態は閲覧範囲の設計です。
型1をやるなら、こうなっていなければいけません。
- 買い切りを買った人 → 講座の教材は見られる。月額会員のチャットは見られない
- 月額会員 → 教材もチャットも見られる
- どちらも買っていない人 → 案内ページだけ見られる
これを手作業でやると、必ず破綻します。 受講者が10人なら回りますが、100人になり、講座が3つになり、プランが5つになった時点で、「この人はどれを買ったんだったか」を人間が管理できなくなります。
そして事故が起きるのは、たいてい追加したときです。新しい教材を1本足したときに、どのプランから見えるようにするかを設定し忘れる。買い切りの人に月額限定の教材が見えてしまう。逆に、月額会員が見られるはずのものが見えない。
「両方売る」を決めた時点で、必要になるのはこれです。
プランごとに閲覧できる範囲を設定でき、プランを増やしても設定をやり直さなくていい仕組み
値段はあとから変えられます。見せ分けの仕組みは、あとから足せません。
学習塾の場合の組み立て方
塾には、他の業種にはない条件があります。すでに対面の生徒がいることです。
ここで大事なのは、オンラインを「通塾の代わり」にしないことです。代わりにすると、いま月謝を払っている生徒がオンラインに移るだけで、売上は増えません。
分けるべきは、買う人です。
| 対面 | オンライン | |
|---|---|---|
| 誰が買うか | 通える範囲の生徒 | 遠方・部活で通えない・特定科目だけ欲しい人 |
| 何を売るか | 通年の指導 | 単発の講習と続ける場 |
この前提で組むと、こうなります。
買い切り(単発の講習)
- 夏期講習・冬期講習を、それぞれ別の商品として売る
- 「利用できる期間」を講習の期間に合わせる
- 通っていない生徒にも売れる
月額(続ける場)
- 講習を受けた人が、そのまま質問を続けられる場
- 新しい講習が出たときに最初に案内が届く
この形の利点は、夏期講習を買った人のリストが残ることです。冬期講習を売るとき、ゼロから集客しなくてよくなります。
買い切りは「売って終わり」ではありません。買った人のリストが残るなら、それは次の商品の入口です。
決める前に確認すること
プラットフォームを選ぶとき、あるいは自分で作ろうとしているとき、この6つを確認してください。どれも「両方売る」と決めた瞬間に必要になります。
1. 1つの講座の中に、買い切りと月額を並べて置けますか
別々の講座に分けないと売れない場合、受講者は2回申し込むことになります。
2. プランごとに、見せる教材を変えられますか
これができないと、型1も型2も成立しません。
3. プランを増やしたとき、見せ分けの設定をやり直さずに済みますか
月額プランと年額プランのように、中身は同じで支払い方だけ違うプランは必ず出てきます。そのたびに全教材の設定をやり直すなら、プランを増やすこと自体が負担になります。
4. 買い切りに「使える期間」を設定できますか
夏期講習を売るなら必須です。無期限でしか売れないなら、講習という商品が作れません。
5. 買った人にだけ、次の案内を送れますか
「夏期講習を買った人にだけ、冬期講習の案内を送る」ができないと、リストが残っても使えません。
6. 手数料は、誰が何を負担しますか
売上に対する手数料と、決済にかかる手数料は別物です。どちらを誰が負担するかまで確認してください。 月額と買い切りで条件が違う場合もあります。
料金プラン以外の項目も含めて比較する段階なら、塾向けオンライン講座プラットフォームの選び方をあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 買い切りと月額、どちらから始めるべきですか
買い切りからです。 月額は「毎月何を出すか」を考え続ける必要があり、始めた瞬間から止まれません。買い切りなら、1つ作り切れば売れるかどうかを確かめられます。売れると分かってから月額を足すほうが安全です。
Q. 同じ中身を2つの値段で売ると、安いほうしか売れなくなりませんか
同じ中身を2つの値段で売らないでください。 分けるのは値段ではなく、中身か、関わり方の量です。型2のように「教材だけ」「伴走つき」で分ければ、選ぶ理由が値段以外になります。
Q. 買い切りの人から「月額の中身も見せてほしい」と言われたら
見せないでください。 一度でも例外を作ると、月額に入る理由がなくなります。そうならないよう、買う前に境界がはっきり分かる書き方をしておくことが重要です。
Q. プランは何個まで作るべきですか
最初は2つです。 買い切り1つと月額1つ。増やすのは、それぞれが売れることを確かめてからで間に合います。プランを増やすと、見せ分けの設計も、案内の出し分けも、その分だけ複雑になります。
Fincs の場合
Fincs for School では、1つの講座の中に月額(サブスク)と買い切り(一括)のプランを並べて置けます。上の6項目に沿って書きます。
- 1つの講座に両方 — 料金プランは月額と買い切りの2タイプがあり、同じ講座に並べられます。講座ページでの並び順も指定できます
- プランごとの見せ分け — 教材とチャットのチャンネルに「このプランの契約者だけ」という公開範囲を設定できます
- プランを増やしたとき — 複数のプランで同じ見せ分けを使いたい場合、片方をもう片方に連動させられます。設定を1か所で管理でき、プランを増やすたびにやり直す必要がありません
- 使える期間 — 買い切りプランには利用できる日数を設定できます。夏期講習のように期間の決まった商品を作れます
- 買った人への案内 — 受講者を条件で絞り込んでメールを送れます。送信前に対象人数を確認できます(Fincs for School のご契約では標準でご利用いただけます)
- 手数料 — Fincs for School は月額19,800円(税込)で、講師の売上から差し引かれる手数料は0%です。受講者のお支払い時に決済手数料5%がかかります
このほか、契約が完了した直後の画面で別のプランを提案する機能(ワンタイムオファー)もあります。買い切りを買った人に、その場で月額会員を案内できます。 型3をやるなら使えます(対象は月額プランのみです)。
機能ごとの詳しい可否は、できること・できないことにまとめています。
まとめ
- 買い切りと月額は別の商品です。どちらかを選ぶ問題ではありません
- 難しいのは値段ではなく、誰に何を見せるかの設計です
- 見せ分けの仕組みはあとから足せません。 値段はあとから変えられます
- 塾の場合、オンラインは通塾の代わりではなく別の商品として組むと、月謝から移し替えるのではなく売り方の選択肢が増えます
- 買い切りで売れることを確かめてから、月額を足すのが安全です
売る形が決まったあと、いつ専用のシステムに移るべきかは、専用システムに移すのはいつかに書きました。